製造業における人手不足と効率化の課題に直面する中、多くの企業が自動化への投資を検討しています。しかし、従来型の大型パレタイザーは、設置スペースの確保や高額な初期投資が障壁となり、特に中小規模の製造現場では導入を躊躇するケースが少なくありませんでした。
この課題を解決するのが、新世代の小型パレタイザーです。最新のロボット技術と安全システムの革新により、従来の1/3程度のスペースで導入が可能になり、食品、化粧品、医薬品、日用品などの様々な業界で急速に採用が進んでいます。
本記事では、省スペースでの自動化を実現する小型パレタイザーの特徴や適切な選定方法について解説します。
パレタイザーの種類と進化 ~省スペースで導入可能な協働ロボットパレタイザー~
製造現場におけるパレタイジング作業の自動化において、ロボットアーム(多関節ロボット)を用いたパレタイザーは「産業ロボットパレタイザー」と「協働ロボットパレタイザー」の2つに大別されます。この2つのシステムは、特に設置面積と安全性の面において大きな違いがあります。
「産業用ロボットパレタイザー」は、製造現場で長年の実績を持つソリューションです。「ハイパワー」と「高速」を重視し、大手飲料メーカーや大規模物流センターの生産性向上に多大な貢献をしてきました。しかし、この強力なパワーと高速動作ゆえに、作業者との接触事故を防ぐための大規模な安全柵の設置が法令で義務付けられていす。
これに対して画期的な特徴を持つのが協働ロボットを活用した新世代のパレタイザー「協働ロボットパレタイザー」です。最大の革新点は、人との安全な協調作業を実現する高度なセンシング技術です。作業者との予期せぬ接触を検知すると、瞬時に動作を停止する安全機能を標準搭載しているため、従来型の産業用ロボットで必須だった安全柵が不要となりました。これにより、作業者はロボットのすぐそばで作業することが可能となり、大きな設置面積が不要になりました。
特に深刻化する人手不足の中で、従来型の産業用ロボットでは安全柵の設置スペースや運用コストの制約から「パレタイジング作業の自動化は実現困難」とあきらめていた中小企業にとって、人との安全な協調作業を実現する協働ロボット型パレタイザーは、その常識を覆す画期的なソリューションとなっています。


協働ロボットパレタイザーと直交ロボットパレタイザーの比較
「産業用ロボット」と「協働ロボット」以外にも「直交ロボット」を使ったパレタイザーも存在します。「直交ロボット」に対して「産業用ロボット」と「協働ロボット」は関節が多くあるので「多関節ロボット」と総称されることもあります。直交ロボットパレタイザーは、X軸(左右)、Y軸(前後)、Z軸(上下)の3つの軸に沿って動作するロボットです。先ほど説明した産業用ロボットと同様に「ハイパワー」と「高速」を重視した直交ロボットパレタイザーもありますが、比較的小型な直交ロボットパレタイザーも販売されています。協働ロボットパレタイザーと直交ロボットパレタイザーを比較「設置のしやすさ」「可搬性」「カスタマイズ性」という3つの観点で解説をしていきます。

設置のしやすさ
設置のしやすさという観点で重要になってくるのは、ロボットの設置をした時に占める面積です。結論として、協働ロボットパレタイザーと直交ロボットパレタイザーで設置面積に大きな差はありません。
一部の直交ロボットパレタイザーのサイトでは、多関節ロボットは移動範囲が多く、大きなスペースの確保が必要と説明されていることがありますが、実際は関節を最大限に伸ばして動作することは無いので大きなスペースの確保は不要です。
1パレットのパレタイザーの場合、一般的な小型直交ロボットパレタイザーは、横:2.5m、奥行:2m程度です。弊社(株式会社Closer)の小型協働ロボットパレタイザーは、更に省スペースで、横:2m、奥行:2mのスペースに収めることができます。高さに関しては一般的な小型直交ロボットパレタイザーは、2m程度で導入が可能です。一方、小型協働ロボットパレタイザーについては、自由度が高いため条件に応じて調整が可能です。一般的な会議室(高さ2.5m程度)でも動かすことができます。

可搬性
設置のしやすさという観点で重要になってくるのは、ロボットを移動させるときの大きさです。結論として、協働ロボットパレタイザーのほうが小型であり可搬性に優れています。一般的な小型直交ロボットパレタイザーは、横:2.5m、奥行:2m程度です。弊社(株式会社Closer)の小型協働ロボットパレタイザーは、移動時は、横:0.9m、奥行:1.5m程度になるため、狭いスペースでも移動させることができます。

カスタマイズ性
カスタマイズ性という観点では、小型協働ロボットパレタイザーのほうが自由度が高いため、導入後の調整に対応がスムーズです。具体的には高さ方向へのカスタマイズは、直交ロボットパレタイザーはハードウエアの改良が必要になってきますが、小型協働ロボットパレタイザーであれば、ソフトウエアの改良のみで調整することができます。
協働ロボットパレタイザーと直交ロボットパレタイザーの比較
協働ロボットパレタイザーは、小型で省スペースでの設置や可搬性に優れ、カスタマイズも柔軟であることが分かったとおもいます。しかし、協働ロボットパレタイザーも製造する会社によって異なる部分があることに注意が必要です。
昇降機構がある協働ロボットパレタイザー
協働ロボットパレタイザーの中でも、昇降機構タイプがあります。昇降機構が付いている協働ロボットパレタイザーのメリットは、2m以上など高くまでワークを積み上げることができることです。
弊社でも、昇降機構が付いている協働ロボットパレタイザーの開発を検討しましたが、いくつかのデメリットが存在するため、開発を中止しています。
1つ目は安全性についてです。協働ロボットのアーム自体は人が接触したら停止する安全対策がついています。一方で昇降機構自体には人が接触した際に停止する安全対策がついていません。そのため、昇降機構自体に手などを挟んでケガをする可能性があります。
2つ目は故障原因が増えるということです。昇降機構があるパレタイザーと昇降機構がないパレタイザーを比較すると、昇降機構がついている場合のほうが、故障する要因をやメンテナンスを増やすことに繋がります。
3つ目は設置スペースを小さくできるわけではないということです。昇降機構をつけると、ロボットのサイズを小さくすることができるため、省スペースで導入ができるのではないかと思いますが、ロボットアームが大きくても小さくてもパレタイズするためのロボットの駆動範囲は大きく変わらないため、設置スペースは殆ど変わりません。

レイアウト追加の容易さ
一般的に協働ロボットのパレタイジング動作をロボットに教え込むには「ロボットティーチング」と呼ばれる作業が必要です。これは座標や経路などを「ティーチングペンダント」と呼ばれる専用の操作画面から、プログラミングをする必要があり専門の知識が必要です。
これらをより簡単にするために、パレタイジング専用のソフトウエアを作っている会社もあります。しかしながら、このソフトウエアのクオリティは各社様々なので、実際に触ってみて確かめることをおすすめします。簡単と謳っていても、実際はティーチングペンダントを使用する必要があったり、限られたレイアウトしか生成ができなかったり、PCの別のソフトウエアからデータを出力してロボットに読み込ませる必要があったりします。
弊社(株式会社Closer)は、簡単に運用・導入ができることに重点を置いており、日々ソフトウエアの改良を行っています。Closerで内製しているパレタイジング専用のソフトウエアであるAutoLayout™は、先述のような使いづらさはなく、レイアウトの作成から実行までを1分程度で行うことができます。

Closer Roboticsの小型協働パレタイザーの特長
Closer Robotics(株式会社Closer)は、小型協働パレタイザーを開発するメーカーです。Closer Roboticsの小型協働パレタイザーは、顧客の求める「小型」「移動可能」「簡単操作」を徹底的に追求したパレタイザーを開発しています。
導入をご検討される際には、是非一度Closer Roboticsにこちらよりご相談ください。パレタイズロボットの詳細はこちらのページで確認できます。